新しい物性物理
読了。なかなかいい本でした。物質科学を、電子の働きという観点から、包括的に説明してくれる一冊です。物質科学に興味が持っているかたなら、誰にでもお薦めします。
少し内容に触れておきましょうか。
まず、第一章では物性という言葉と物質科学の歴史を、西洋/東洋の物質観の差異から現在まで大まかに説明しています。
そして、第二章では光とエネルギーと物質について、第三章では物質の物性に大きな影響を及ぼす電子の役割について、第四章では固体物性を理解する上で重要となる物質の構造について、ページが割かれています。物質科学の根本ですね。
第五章では半導体、超伝導といった電気伝導の世界を、第六章では磁気の世界を、その起源から応用に至るまでが記述されています。電子の運動による様々な現象とそれによる物質の特徴がわかりやすく描かれています。
第七章では、ナノ科学、カーボン科学、生物科学といった、物性科学の最前線のトピックを、つづく第八章では、極低温、超高圧、強磁場といった、基礎科学の極限分野を紹介しています。現在の、そしてこれからの物性科学の方向が垣間見えるのではないでしょうか。